【もう一つのサピエンス全史】ドメスティケーションと心の人類史

哲学とっかかり

現在は2021年。今、人類はかつて何度も経験したパンデミックに晒されています。ウイルスや細菌との闘いは過去のことではなく、今でも尚、続いていることに我々は気づかされました。人類史上何度も絶滅の危機に見舞われた病原菌と人類の闘いの歴史。

世界史の始まりは、農耕社会の形成と文明の勃興にあります。世界四大文明は、4000年前から2500年くらいの間に大きな河川の近くで発展しました。「エジプトはナイルの賜物」という言葉がある通り、ある時期に川が氾濫して肥沃な土地が自然にもたらされたところから人類の物語が始まります。

川が氾濫して、栄養たっぷりの肥沃な土に人類は作物を植えて育て始めたのだった。

大まかに言いますが、人類は農耕をすることで食料を備蓄することを覚えたのです。これはつまり、財の蓄えの始まりになります。それまで腐るようなものしか食べていなかった人類が小麦や米などを蓄え始めた。経済の始まりです。

人間ってすげーな! 俺らの種には真似できねーこと始めて。

農耕が始まって、人類の生活がガラリと180度変わったのにゃ。そして、おめーらは自然を支配し始めた。俺が人間達のパートナーになるのもこの頃だ。

世界史の始まりである5000年~の農耕の始まりにより、人類が得たものと問題点

農耕の始まりにより人間が発見したこと
  • 自然支配(ドメスティケーション)……暦の発見・食物の品種改良・動物の家畜化
  • 病原菌との闘い……パンデミックと死に至る病
  • 心と宗教……神の誕生・人との関係性や結びつきの複雑化
  • 経済発展と道具の発明……権力の誕生と社会と法の確立。科学的思考の発達。
  • 情報の氾濫と現代社会……古代と中世の交易による情報交換から近代・現代へ

おまえらが農耕を始めてから、いろいろな変化が起きたのにゃ

俺が今の姿になったのもおめーら人間のドメスティケーションのお陰だ。

ドメスティケーションとは、人間が自然を支配することによって、植物栽培・家畜飼育が行われ、人間の都合の良いように交配が行われた。このように人間が支配してきた自然のものを「ドメスティケーション」に呼ぶ。

ドメスティケーションの始まり

人間は農耕を始めるために河川の氾濫の時期を知りたくなって、こまか~く太陽や月の動きを観察しだしたのだった。これにより人類は太陽暦・太陰暦を発見したのにゃ。自然支配や科学の走りだにゃ。

農耕をやるために人類は、毎年の川の氾濫の時期を知りたくなりました。それを知ることで、農耕に適した季節や時期を知りたかったのです。そこで古代エジプトでは太陽の1日を観察し始めました。川の氾濫時期の周期性を知ることで農業に有利な状況を自分たちで獲得しようとしたのですね。また、メソポタミアでは月の満ち欠けを調べました。古代エジプト人が発見したのが太陽暦(シリウス暦)。メソポタミア文明で発見されたのが太陰暦になります。

現在の日本の暦は「グレゴリオ暦」を採用しています。1年が365日あり4年に一度閏年がある。イスラム暦や中国の旧暦など世界では色々な暦を採用していますが、暦の起源は古代文明にあります。昔の人は季節や時期が巡っているのが不思議だったようですね。農耕をするようになって暦を知ることで農業の時期や川の氾濫時期を知ろうとしたのですね(^_^)。

詳しい内容は別記事に書いたのでリンクを貼っておきます。

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病原菌との闘い・コロナウイルス格闘前史

現在2021年1月20日、コロナ渦真っ只中で、昨日新たにコロナウイルスの変異種が見つかったという報道を目にしました。いつ収束をするのか全然わからなくて窮屈だし、怖いし、最悪ですよね。

だけどこれって今に始まったことではないんですよね。かつて人類は何度も同じような状況を経験している。いや、もっと絶滅に近いパンデミックを人類は何度も経験してきているのです。病原菌との闘いは人類史の歴史そのものです。

今でこそ人間どもも俺たちと一緒に生活しているが、昔は大変だったらしいな

人類が農耕を始めるのと平行して、野生動物を家畜化していきました。これも「ドメスティケーション」の一つです。動物を飼い始めて間もなく、動物が保有する病原菌に人類は苦しめられます。そして、多くの我々の親類達は死滅していきました。現在、生き残っている文明社会に暮らす人間は、みんな現在ペットとして飼われている動物や家畜のもっている病原菌の抗体をもっています。だから犬や猫に舐められても全然みんな平気なのです。

これが東南アジアやアマゾンの奥地など未開の地に行くと、現地の人は我々が免疫を持つ病原菌に感染して多くが死んでしまうようです。その昔、ヨーロッパ人がアメリカ大陸を発見して、現地の人間を侵略していきました。この時、ヨーロッパ人はみんな病原菌の抗体を持っていたので、南米の人間達は次々に疫病に罹っていったようです。

南米の原住民は何故、ヨーロッパ人が病気に罹らず平気かわからなくて「これは宗教が影響しているんだ。彼らの信仰する神が本物なのだ」と考えたようです。これにより原住民はキリスト教に改宗していったという歴史があります。詳しく書いた記事があるので、よかったらご参照ください。

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人類史における心と宗教の歩んだ変遷

人類は農耕を始めて、自然を支配していったが、一生ってのは今も昔も変わらない。どうやって幸せに暮らすのか、一生を生ききるために人は自分のような有限な存在と対比して大いなる存在に身を委ねてきたにゃ。未だに人類の多くは神への信仰を怠ってないのにゃ。

1995年に地下鉄サリン事件というテロ事件が日本中を震撼させました。これを行った首謀者は「オウム真理教」という仏教系宗教団体の教祖でした。人類は今も昔も有限な存在です。有限な人類が恐れ多くも善なる無限なる神の存在を信仰するのは古代であろうと現代であろうと変わりません。

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仏教に関しても一見、絶対神がいないようですが、原理としてはキリスト教やイスラム教などの一神教と同じです。大いなる者に身を委ねると言う意味で仏教も宗教になります。

現代では科学技術が発展して、自然を支配してきた人間が神を信仰しなくなったと思うか? それは日本人の狭いものの見方で、まだまだ神に救いを求めている人は世界の大半だ。

インターネットが普及し、高度情報化・グローバル化した社会が複雑になっていく中で、何に救いを求めるかは人それぞれですが、いつの時代も宗教が答えの一つであることに変わりありません。要は何を拠り所にするかであり、有限な人間は心の支えである「大いなる無限の存在」を想定しないと心が安定しないのです。それが科学であるか宗教であるかは人それぞれです。科学だって信仰で、それを絶対だと仮定しないと人間は薬も飲めないのです。

人類史の経済発展と道具の発明

人類は農耕を始めてから道具を使うようになったにゃ。各地域で色んなものが発明されていったが、古代から中世に掛けて、中国が独占していた発明品はそりゃあ凄い物だったのにゃぞ

古代中国は、世界を制覇するに相応しい発明をして、しかもそれを独占していました。

特に際立っていたのは「製鉄技術」「製紙技術」「活版印刷技術」です。これを独占的に持っているだけで世界の覇者となるくらいの軍事力や生産力があったのです。今でこそ「鉄」や「紙」なんてありふれていますが、昔の人はこれらの物なしに生活していたのです。製鉄技術って人類に多大な影響をあたえた物なのですよ。今、鉄を取っ払って生活しろって言われても凄く困る人多いと思います。ありふれているからわからないですけど。あとは「紙」がない生活も想像してみてください。これもまた不便ですよね。中世までこれらの技術は中国が独占してもっていました。

人間が何故、文明を発展させて行ったか? それは「情報」を後生に伝えられるようになったからです。つまり「紙」に書いたものが保存され、更に「印刷技術」の発達により一冊ではなく多くの本が増刷され、一般の人にも情報が行き渡るようになりました。詳しく書いた記事をリンクしておきますね。「中田敦彦YouTube大学」の中国の解説も収録してあります。

世界経済の歴史・グローバル経済史入門~中国文明が産んだ発明品
中国文化が保有した発明品に次のようなものがあります。 ・製鉄技術 ・紙 ・印刷術 ・羅針盤 ・科挙(登用試験) これらは世界経済に多大な影響をあたえました。

「5G」次世代通信システムが、ようやく日本でも始まったばかりですが、こういった技術革新は古代にもあったわけです。それは「製紙技術」と「印刷術」によって「文字の文化」が生まれ、人の意識が変わりました。また20世紀初頭・写真家のリュミエール兄弟によって「シネマトグラフ」という「映像フィルム」の映写機が作られ特許を取りました。これを契機に「映像」は一般に普及し、また人の精神に影響を与える技術革新となったのです。そして今度は第二次大戦の後、数十年後に「インターネット」が普及し、またも人間の意識が変わっていきました。「情報過多」です。情報が溢れだし、人間の意識はカオスのような「情報」の波に飲み込まれて行きました。どこへ行っても情報が手に入る。30年前には、このような状況にはなかったのです。みんな何もわからず生活していたのです。みんな何も情報を持たずに暮らしていたのです。そして「5G」。

人類はどこへ向かうのでしょうか? 人類は「インターネット」の普及により、莫大な情報と付きあっていかないと生きていけない時代に入ったのです。

情報の氾濫と現代社会

本当に恐ろしい生き物だにゃ、おめえら人間って。ここまで来ると頭おかしくならねえか?

人類の何人かはやはりおかしくなりましたね。世界はグローバル化して都市化が進み、人が密集して生活するようになり、情報も溢れていて犯罪も増えました。日本の年間の自殺者三万を維持し続け、情報過多についていけない人がたくさんいます。

何が悪いって事はないが、人類は一人一人が答えを見つけられない状況であることは確かです。ただ、技術革新は自然に発達していったため「情報過多」を嘆いて昭和の古き良き時代を懐かしんでもしようがないわけです。

かつても「情報」というものは重要でした。古代中国から西域である「イスラム王朝」や「ヨーロッパ」に物資や情報が行き交っていましたし、近代になると今度はヨーロッパが覇権を握って、世界分割へ乗り出してきました。「情報」と「技術革新」は切っても切れない結びつきがあり、また「情報」が何かを生み出して、人間の意識を変えていくことでしょう。人間は時代に翻弄されながら、環境に適応していくしかないのです。適応できないのなら淘汰されていくのです。

これについて詳しく書いた記事のリンクを貼っておきます。

高度情報化社会へのとっかかり~ビジネスのための情報講座
情報に関するお話。情報とは何か、情報があることでどんなことが起こるのか、または現代での情報はどういった意味をもつのか。

今回「農耕」から始まって、「ドメスティケーション」「パンデミック」「宗教」「経済と発明」「情報の氾濫」と大ざっぱではありますが、人類の歴史を追って「サピエンス全史」をお浚いしました。是非、生活の中にある物とか情報についてちょっと考えてみると面白いと思います。それではありがとうございました。

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