ユダヤ教入門・大人の教養~世界宗教とっかかりシリーズ

宗教のとっかかり

はじめに

よく都市伝説で、「イスラエルの失われた10支族」が日本人である、なんて話聞いたことありませんか?

「失われた10支族」って何だと思いますか?

端的に結論からいうと、古代ユダヤ人の国であるイスラエルには12支族いて、一般的に2部族がユダヤ人と云われている訳ですよ。で、あと、10支族がどこいったのかよくわからない。

その一部が大昔の日本に来ていたのではないかという都市伝説です。

まあ、考古学でもあながち「なかったこと」でも無いようですがね。日本人といつの時代か血が混ざっちゃえば、原型は埋もれてしまいますからね。

一般に世界に分布するユダヤ人と云われる人たちはユダヤ教を信仰しています。だけどユダヤ教とかユダヤ人って結構、複雑でユダヤの民っぽくても別にユダヤ教を信仰していない人も大勢いますし、ユダヤ人っていったって、まあそのような民族って感じですごく曖昧ななのです。

世界史でヒットラーがユダヤ人をオフィチェエンチム(ホロコースト)に隔離して劣悪な環境のなかで、少しずつ毒ガスを使って根絶やしにしようとしたなんて、世界史のなかにある常軌を逸した悲劇もありました。

ユダヤ人は、ホロコーストに限らず、ずいぶん歴史の中で迫害を受けたり、難民みたいになって旅を続けたり、非常に数奇な運命を辿った民族なんですよ。

ユダヤ教の教義は、基本的には「タナハ」と云われるキリスト教の「旧約聖書」やラヴィ文学が経典になっています。これらの経典に記されている教えを、ユダヤ教徒は従順に守っているわけです。

ちなみにユダヤ人の歴史って、めっちゃ複雑です。複雑な上に世界史上こんなに数奇な運命を辿った人たちもいないっす。

今日はユダヤ教の起源について重点的に見ていきたいと思います。

記事を一通りみると、ユダヤの大まかな正体と意味がわかります。


ユダヤ人の父アブラハム

ユダヤの歴史を説明するのには、ちょっと骨が折れます。少し入り組んで複雑な話になるので、まあサラッと読み飛ばしちゃってください(^_^)。

キリスト教の記事でもお話しましたが、そもそもユダヤ教ってキリスト教と同じ神様を信仰していて、神は6日で世界を創造して、7日目に安息日を設けました。ここのところはキリスト教の記事でお話いたとおりです。

この記事でも便宜上聖典を「旧約聖書」として記載します。ユダヤ教徒にとっては「旧約聖書」という呼び名はなく、あくまで「タナハ」なのですが、日本人からしたら「旧約聖書」の方がしっくりくるでしょうから。

それで「旧約聖書」には人類の「原罪」と楽園を追放された人間のその後が描かれております。

旧約聖書の物語は「創世記」の中に、「天地創造」「エデンの園」「カインとアベル」「ノアの箱舟」「バベルの塔」「アブラハムの物語」という順番で推移します。

「カインとアベル」のお話は「キリスト教1」の記事でお話ししたので、そちらをご参照ください。

大まかに神によって創られた人類であるアダムとエヴァが楽園を追われて、その後も人類は罪を犯し続けます。神「ヤハウェ」は、それでも人類を見捨てずにいてくれるのです。

アダムとエヴァの子孫が人類であり、「原罪」を犯した人類に神は啓示を与えるため「預言者」を遣わします。その後の人類の歴史が「旧約聖書」に記されています。「ノアの箱舟」って有名ですよね。日本人もこの話と「モーセの10戒」は何となくだけど、物語を知ってるって人多いともいます。

ノアの子孫であるユダヤ人の祖である「アブラハム」の話が「旧約聖書」に出てきます。このアブラハムの物語からお話しを進めます。

アブラハムの族長物語

ちなみにアブラハムはユダヤ人の祖だけではなく、イスラム教の多いアラブ人の祖でもあります。

アブラハムの生まれは古代メソポタミアであるユーフラテス川下流の町ウルです。その地でアブラハムは神の神託を受けます。というわけでアブラハムは「預言者」であります。「ユダヤ教」「キリスト教」「イスラム教」に欠かせない人類の救世主なのです。

彼は父テラと甥のロトと共に生まれた地を離れて、定住を繰り返し、父のテラが亡くなった後に、再び神の啓示を受けてカナンを目指します。

ちなみに余談ですが、古いドラゴンクエスト123「ロトの紋章」とか「ロトの血を引く者」ってこのロトの一族の末裔という設定です。旧約聖書「ソドムとゴモラ」にもロト一族は出てきます。

それでアブラハムとロトは、カナンに定住して牧畜を営んでいたのですが飢饉が襲ってきて、アブラハムはヘプロンに定住し、ロトはソドムの町へと移りました。

アブラハムはこの地で、財産を築き軍事力を保持して族長となります。

高齢になったアブラハムには跡継ぎがいませんでした。

そこで妻であるサラは、側室を勧めて女奴隷であったハガルとの間にイシュマイルが生まれました。しかし、その後正妻サラにも子供ができます。その子をイサクといいます。

このイサクが成人して子供を何人か産んで、そのなかのヤコブという子が後に、12人の子供をもうけました。この12人の息子こそが12支族のそれぞれの族長なのです。ヤコブの12人の息子をユダヤ人といいます。

この12支族の内、2支族が現在世界に分布するユダヤ人とされているのですが、じゃああと10人の族長は? ってことでその一部が日本人なのではないかといわれています。

ちなみにですねえ、アブラハムの側室の子イシュマイルですが、これも12人の子供がいて、その子孫がアラブ人らしいです。

なんかw 信憑性についてはわかりません。

とにかくこのように複雑な族長アブラハムは「預言者」にして、ユダヤ人やアラブ人の祖になるのです。


アブラハムの子孫たち

アブラハムの孫に当たるヤコブとその息子たちは、イスラエルに暮らしていましたが、飢饉が襲い、エジプトに逃れました。

エジプトでは過去に兄弟たちに嫌われて、エジプトに売り飛ばされたヤコブの11番目の息子ヨセフがいました。ヨセフはエジプトにいたのですが、持ち前の器量で出世をしていました。

このヨセフはヤコブとその息子である兄たちを助けて(ヨセフの生涯については複雑で、よかったらググってみてください)、エジプトで暮らし始めます。

何かややこしいですね。整理してみます。

アブラハム-イサク(正妻サラの子)ヤコブ12人の息子(12支族)=この11番目の子供がヨセフ。ヨセフはエジプトの宰相にまで登り詰める。

ヨセフに助けられたヤコブと11人の息子たちは、ヨセフが生きているまでは良かったのですが、のちに迫害を受け、400年もの間、奴隷にされます。

ユダヤ人ってその後、本当にいろいろな時代に迫害を受けるようになるのですが、数奇な運命を辿るとはこのことです。

このエジプトで迫害を受けてきたユダヤ人たちは、モーセによって助け出されます。旧約聖書に出てくるモーセですが、日本人にもお馴染みですよね?「十戒」という映画がありましたが、まさにこの時のことです。

旧約聖書によれば、「預言者」モーセは神の啓示を受けて、エジプトの地からユダヤ人を助け出します。これが世にいう「出エジプト」です。

映画とかフィクションでは、モーセが海を真っ二つに割って道を開いたなんてシーンもありましたが、本当に旧約聖書にそのことが記してあります。

イスラエル王国の建設

旧約聖書によれば、紀元前1050年から同930年頃まで、ユダヤの12支族は神との約束の地カナンに暮らしていたということです。ここで初代サウル王イスラエルを建国したそうです。

ちなみに省きますが、旧約聖書では「出エジプト」のあと「ヨシュアのカナン征服」「士師サムソン」「ルツとナオミ」「士師サムエル」とお話が続いて、その次が「イスラエルを建国したサウル王」の物語です。

紀元前1008年頃にダビデがイスラエルの王となり、その息子ソロモン王の時に、最盛期を迎えました。ダビデ王は、ヨルダン川のほとりにあかの有名なエルサレムを築いたそうです。ダビデ王というとミケランジェロが「ダビデ像」が有名ですね。

ソロモン王の時分には「第一神殿」を建立しました。

しかしソロモン王の死後に、12支族はいがみ合うようになり、王国は2つに分裂します。北のイスラエル王国に10支族が、南のユダ王国に2支族が移り住みます。

この2つの王国のうち、北のイスラエル王国が紀元前722年に、東にあるアッシリア王国のシャルマネゼル5世とその息子サルゴン2世に侵攻されイスラエルの首都サマリアが征服されてしまいます。これによりサマリアにいた4万人のユダヤ人がアッシリアの首都ニネヴェに連行され、奴隷として働かされることに。

そしてイスラエルから連行された4万以上の人が南のユダ王国になだれこみ、エルサレムの人口が爆発的に増えます。

現代の中東問題ってあるじゃないですが。ガザ地区とかイスラエルとかパレスチナとか和平、アラファト議長とか。あの世界情勢のニュースで出てくるのが、この古代イスラエル王国があった国です。ちなみにニュースで耳にする「イスラエル」「パレスチナ」って、ユダヤ人とアラブ人の国のことです。中東戦争というのがユダヤ人とアラブ人のいざこざのことです。この地で何度も戦争が行われました。いわゆる「パレスチナ問題」ですね。

アラブ人もアブラハムの子孫という設定な筈ですが、いがみ合っているんです。原因は宗教です。ユダヤ教を信仰しているユダヤ人とイスラム教を信仰しているアラブ人のパレスチナ」とで、エルサレムを巡って戦争しているのです。兄弟喧嘩。冗談抜きで泥沼みたいっすね。これ実は第二次大戦後のイギリスが悪いのですが。


この後も悲劇が続くユダヤ人

紀元前597年ユダ王国はヨヤキン王のときにバビロニア王国ネブカドネザル王にエルサレムを包囲されて、バビロンにヨヤキン国王と大勢のユダヤ人が連行されます。世に言う「バビロン捕囚」です。

それにしても本当にユダヤ人って数奇な運命を辿りますね。その後のヨーロッパでの迫害といい、第二次世界大戦のナチスドイツのホロコーストなり。これからの時代、幸せに暮らしていけるように祈るばかりです。

バビロン捕囚されたヨヤキン王以下は、バビロンに連れて行かれますが、辛うじてゼヤキンがユダ王国の王として残ります。まあ、ヨヤキンがそういう約束で連行を受け入れたのですが。

しかし、このゼヤキンがのちに反乱を起こして鎮圧され、とうとうユダ王国は滅びてしまします。こうして、北のイスラエルも南のユダ王国も滅び、ユダヤ人は散り散りばらばらになって、ある者は奴隷にある者はどこか遠くに逃げました。

その70年後救世主が現れます。

ペルシア王国を築いたキュロス2世です。

この王がバビロニア王国を滅ぼして、奴隷だったユダヤ人を解放します。それだけではなく、キュロス大王は「他民族の文化と宗教を尊重する寛大な政策を取ったために、ユダヤ人に新しい神殿を建てるように促して、費用も王が出しました。なんと太っ腹な!

キュロス2世こそ本物の「救世主」ですね。

こうしてユダヤ人は聖地エルサレムへと帰ってきます。ちなみにキュロス大王のことは旧約聖書には記されていないそうですが、バビロン市の城壁から見つかった円筒印章という文字の書かれた粘土板に記載があったそうです。つまり、この寛大な措置は事実らしいです。

ちなみに、キュロス2世はゾロアスター教徒でした。ユダヤ教徒ではなかったのですが、ずいぶん人権を守った偉い王様だったようです。

円筒印章のレプリカが、ニューヨークにある国連本部の安全保障理事会議場の横に「人権宣言」の象徴として置かれているそうです。

ユダヤ教の教義

ユダヤ教は世界宗教の部類ではなく、民俗宗教であるそうです。

しかしユダヤ教の中から現れたイエス・キリストが世界宗教であることから、宗教の分野におけるその存在は大きく、ユダヤ人みならずともユダヤ教に改宗する人もいて、「非ユダヤ人も神の下僕となり、神との契約を守るならユダヤ教徒になることができるとされる」ということです。

ユダヤ人にとって神である「ヤハウェ」は、6日で天地世界を創造して安息日を設けたため、ユダヤ人も1週間の内必ず1日安息日を設けています。絶対らしいです。

ユダヤ教はキリスト教のイエスやイスラム教のムハンマドに当たる「預言者」の最上位がいません。いや、わかりません。でもどうやらノアがその役割を担っているというか、「タルムード」というノアの言語録がかなり重要な聖典になっているらしいです。

まあ、ユダヤ人にとって神の啓示を受けた「ノア」「アブラハム」「モーセ」の3人の「預言者」は鉄板です。

ユダヤ人にとって労働は、キリスト教のプロテスタント同様、神が人間に課したものであるため、金儲けも赦されているようですね。ユダヤ教の金持ちって多いですし。

ただプロテスタントとの違いは、創造主は神に代わって労働をするために人間を創ったために労働の資産は神に一部寄進しなければなりません。

それに対してプロテスタントは、あくまで労働は神とその人(個人)との契約事なのです。だから神に赦されていることとして労働を扱います。ユダヤ教徒にとって労働は、神の代わりにやっていることなのです。

最後にユダヤ教徒にとっての死生観は、「死後の世界」などというものはなく、「神ヤハウェ」が最後の審判によって、復活するか地獄に堕ちるか、二つに一つなのです。ですから現世利益や徳を説く宗教に近いですね。


おわりに

それにしてもユダヤ教徒はずいぶん酷い目にあってますね。

未だにパレスチナ問題で火種抱えてますし、あっちいったりこっちいったり、本当に大変な運命を辿っています、

まあ、厳格な宗教ではありますが、別に過激派が多いわけでもないですし至って穏やかな人たちなのかもしれませんね。

そして頭が良い。何でもユダヤ人というのは一説にIQが全体的にかなり高いらしいです。そしてお金持ちも多く、学者なんかも多いんですよ。

ナチスの迫害をの逃れてアメリカに亡命した学者で結成された「フランクフルト学派」もユダヤ人です。アドルノ、ホルクハイマー、フロム、マルクーゼなどなど。

フロムって「愛するということ」の著者です。日本でもだいぶ売れた本だから知っている人も多いかと思います。

それからアインシュタインもユダヤ人ですね。

まあ、何はともあれ、ユダヤ人のことを知っておいて損はないと思います。これから外国人の友人ができてユダヤ教やユダヤ人だった場合、彼らが何を考えて、どう生きているのか、考えてみるのも良いかもしれませんね(^_^)。


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